トこそが、今、我々が一番典型として考えていい、そういうアーチストじゃないかと思います。 8つ目は「母源性」というか、絶えず物事の根源に帰っていこうとする衝動があります。物事の根源というのは、やっぱり感動であり、美しさなんですね。真実性ですね。そこへ帰っていきたい、そういう気持ちを持っております。したがって、いろいろなアーチストのいろいろなキャラクターがありますけれども、どうかそういうものをよくご認識の上、多少くせのある人も多いわけでありますけれども、しかし、やっぱり崇高な価値をつくっていく人なんだと、そういうところをあわせ考えておつき合いをしていくということが非常に重要じゃなかろうかと思うわけでございます。時にはまた、お世話役として、そういう方々のさまざまな欠点をカバーしていく、そういうようなお仕事もまた重要になっていくんじゃないかというふうに思っております。 次に、マネージメントという言葉でありますが、例えばフランスのヴァンデ県のレゼペスという村を中心といたしました野外劇があります。ル・ピュイ・デュ・フウ(Le Puy Du Fou)の野外劇と言われていますが、これは今、世界最大の野外劇に発展しております。この世界最大の野外劇、1977年に13の村づくりのいわゆる「バカモノ」たちが集まってつくり出したものでありますが、今や世界最大の、しかも経済的にも大成功をおさめている野外劇に発展いたしました。 そこで、どういうマネージメントが働いたのかと考えてまいりますと、まずテーマ設定ですね。200年前のフランス革命を契機に地域で発生したヴァンデ戦争から現代までというふうに絞ったわけですね。あくまでも、その土地の問題に絞っています。そのかわり、作曲やナレーションはフランス最高の芸術家にお願いする。花火を上げたり、音響、照明、噴水を上げたりする、そういうハイテク装置もハイテク操作もフランス最高のレベルのものを使う。出演者は全員村の人ということで、大体延べ800人ぐらいの出演者がおりますが、全員せりふはありません。その場面場面の民族衣装を着ながら出てきて、そしてアクションはしますが、せりふはない。実に巧みなんですね。 そういうマネージメントをしたおかげで、現在1万2000人収容のスタンドで、24回公演、30数万人の観客が全世界から集まるんですね。そして、非常にリピーターが多いわけです。1回見るとやめられなくなって、何回でも見に来るという。ところが、地図にも載っていないところで行われているんです。ですから、私は、これからの地域おこしと芸術文化とのかかわりという点については、フランスのヴァンデ県のル・ピュイ・デュ・フウの
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